むしの雑記

むしのこと、趣味のこと、日々の種々雑多

春(春とは言ってない)

虫に出会ったら記事にしようと思っていたんですが、予想外に気温が上がりませんね…。おかげで虫たちも活動を始めてくれず、ネタがないです。

 

北海道の冬は長いとはよく言いますが、今年の冬の粘り腰は異常ですね。ここ数日、冬への退行が過ぎる気がします。

先日の記事で「初蝶も出たし、昆虫シーズンが始まりだ」的なことを書いた覚えがありますが、あの後北海道(札幌)では今日を含め、3回ほど雪が降りました。

 

この時期に冷え込むのは、北海道においては決して珍しいことではないのですが、既に蝶を見てしまっているが故に、心はすっかり春モードなんです。今年はどんな虫に出会えるかなとしか考えてないんです。

 

季節感の切替って不可逆的なものだと思うんですよ。

春モードになってから、雪に降られるとやはりテンションは下がります。

 

北の果てとはいえ、蝶が飛んでから雪が降るのはタブーだと思います。我々昆虫好きがどれだけ春を待ちわびているか、春先に蝶が舞う姿を見てどれだけ心躍っているか、お天道様にはその辺り考慮して働いてほしいものです。

 

 

ペン先からミミズ

春蚓秋蛇(しゅんいんしゅうだ)

曲がりくねった拙い文字を春のミミズや秋のヘビに例えた四字熟語である。

 

ちまちま書かれた小さな文字、縦横が乱れ歪んだ文字、筆圧の薄すぎる文字等、拙い文字にも様々ありますが、拙い字に良い印象をもつのは稀でしょう。

最近ではPC、携帯、スマートフォンタブレット等の普及で文字を書かない傾向が強まっているとはいえ、字はきれいに書けるに越したことはないと思います。

 

小学生の頃、『なまえはていねいにかきましょう』の常連であった筆者は習字を習っているだとかで整った文字を書く友人に憧れた記憶がありますし、その影響なのか分かりませんが、今でも整った字を書く方はとても魅力的に感じます。逆に、綺麗な字を書けばモテるんじゃないかと大真面目に考えたこともありました。(あいにく、習字教室などという高尚な習いごとはしてこなかったために綺麗とは縁遠い文字とともに生きてきたわけですが。)

 

「綺麗な文字はモテる」は冗談として、字が多少なりとも書き手に対する印象を左右することは事実だと思います。教科書のお手本のような美麗な字はなかなか書けないにせよ、多少目を引く程度には字画の整った文字を書きたいものです。

 

自然を食す② 【閲覧『虫』意】

昨日に引き続き今日のテーマも「昆虫食」についてである。

昆虫の食糧としての優秀さは昨日触れたが、その優秀な栄養食である昆虫を食べる文化が世間一般に浸透していないのはなぜだろうか。最大の理由は、やはり昆虫に対するマイナスイメージだろう。昆虫は「汚い」というイメージを持たれがちである。とある昆虫食についての調査では昆虫食に対する抵抗の理由として「細菌」「病原体」「寄生虫」を懸念する、やはり「衛生面」の回答が多数を占めていた。

しかし、考えてみてほしい。我々が日常的に口にする“野菜”、“肉”、“魚”、さらには“水”にも「細菌」「病原体」「寄生虫」のリスクはあるではないか。当たり前に食べられると思っているこれらの物も、適切に処理されているからこそ食材と成り得ているのである。昆虫食だってなにもそこらにいる芋虫やバッタを捕って食うと言っているわけではない。食用として虫を育てようという試みであることを勘違いしてはならない。肉牛を育てるのと何ら変わりないのである。

虫嫌いの方々には「そういう問題ではない」と反駁を受けそうだが、あえて無視することにする。(虫嫌いの方に何が嫌なのかを問うても明確な返答が得られたた例がないため、虫好きの筆者からすると彼らの気持ちは知り得ないのである。「こういう所が嫌」と示してくれれば、大丈夫そうな虫を紹介するのでご相談ください。)

 

お待ちかね、昆虫食レビュー第2弾はこちら「Mixed Pupae(幼虫ミックス)」

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[(左から)サゴワーム、カイコ、スーパーワーム、ミルワーム]

虫の嫌なところランキング第3位「足が多い」(筆者調べ)

ということで、足が無い(ように見える)幼虫はいかがでしょうか。

 
サゴワーム(ゾウムシの幼虫)

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香ばしいナッツの風味があり、美味。
後味はエビフライの尻尾。
 
カイコ(蛹)

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少し粉っぽいスナック菓子といった感じ。こちらもエビに近い風味がある。サイズ感も相まって食べ応え充分。
 
スーパーワーム(ジャイアンミルワーム)

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30~50mmというサイズもあり、見た目的には一番エグいが、クセも無く、もっとも食べやすい。アーモンド風味で美味。
 

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単体だと小さすぎるので一気食い推奨。スーパーワームと似て美味。こちらの方がサクサク感と香ばしさを楽しめる。
 
 
ワーム系はナッツと風味が近く、クセも無いためバッタと比較するとかなり食べやすい印象であった。幼虫を食べるうえでのキーワードは「ナッツ」。というわけで、近い将来ミックスナッツはこうなるかもしれないという予想図とともに今日の記事を締めようと思う。

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では、第3弾をお楽しみに。

 
 

自然を食す① 【閲覧『虫』意】

皆さん「昆虫食」という文化をご存知だろうか。イナゴの佃煮、蜂の子など日本では比較的馴染みの深い(?)文化であると思う。

虫好きな筆者も昆虫食は理論としては興味深く思っていたが、生体を愛でることに喜びを感じるタイプの虫好きであったため、なんとなく手を出さずにいた領域だった。

ただ、虫好きを自称しているのに食虫文化を知らないのはどうなんだろうという、価値観の転換(?)を経て、とうとう手を出してしまった次第である。

 

今日はまず「昆虫食とは?」というところから話して行くことにする。

そもそも昆虫を食べるという文化はマイノリティではあるものの、世界各地に古くからあったものである。国連食糧農業機関(FAO)の報告によると現在アジア、アフリカ、南北アメリカなど80カ国以上に昆虫食の文化があるとされている。世界的に見て間違いなく奇異な文化である昆虫食ではあるが、将来的な食糧問題の救世主として注目を集めている。

世界人口は2030年には約90億人に達するという見込みであり、そうなった場合、現状のペースで食糧増産を進めても約5~10億人が食糧難に苦しむとされている。そこで昆虫の出番である。

良質な動物性たんぱく質を豊富に含み、ビタミン、ミネラル、食物繊維など栄養価で見て優秀であること。その飼料コストが安価であること。小規模設備で生産できるため環境への影響が小さいこと。等様々な面で優秀な食材と捉えられてきている。

雑な紹介ではあるが、食材としての優秀なポテンシャルは多少なりともお分かりいただけたことと思う。

しかし、いかに栄養があろうとも食材としての評価最大のファクターは「味」であろう。というわけで、現在生産の動きが広がりつつある主要な虫のレビューをしていこうと思う。

第1回目は欧米で養殖が進んでいるバッタ類の紹介。

今回食すのはこちら。TAKEO for healthy lifeで購入した「Orthoptera(直翅目) Mix」。

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 [(左から)コオロギ(小)、コオロギ(大)、バッタ(イナゴ?)、ケラ]

では実食。

 

コオロギ(小)

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とても香ばしく食べやすい。苦みや青臭さも無く、4種では最も癖が少ない。

 

コオロギ(大)

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少し生臭さがあるが、味が濃く美味。

最も顔に生気があるので目を合わせないように。

 

バッタ(イナゴの類?)

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比較的大きく、食べ応えがある。草原の風味の後に、そこはかとないエビ感がある。

こちらも生気のある顔をしている。脚が特に香ばしく、美味。

 

ケラ

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小さい見た目に反してクセが強い。生臭さというか野性味が強く、食べやすいとは言い難い。

 

正直な話をしよう。さほど美味しいものではない。

ボイル→乾燥→塩という素材の生きた調理法のものをそのまま食したためクセが気になった部分があった。しかしながら、クセのある食材なんて珍しくもなんともない。料理という武器を持つ人間にかかればきっとすぐに誰もが美味しくいただける食べ方が見つかることだろうと思う。料理研究家の方々に期待せざるを得ない。

オススメの昆虫料理があれば是非とも筆者までご一報を。

 

明日か明後日かには同時に購入したもう一方の食用昆虫のレビュー記事も書こうと思うので、閲覧「虫」意でよろしくお願いします。

樹上を跳ねる虫

Treehopperとはツノゼミの英名である。素早く跳ねて逃げる姿からこの名が付いたのだろう。(跳ぶだけでなく、もちろん飛ぶこともできる。)

 

ツノゼミ」・・・半翅目頚吻亜科蝉型下目ツノゼミ上科ツノゼミ科に属する昆虫の総称である。多くの種がその胸部背面に珍妙なヘルメット状の構造を持つことで知られる。その形状の特異性から“変な虫”の代表格である。

ツノゼミの名に違わず、セミに近しい仲間であるがほとんどの種が1cmに満たない非常に小さな昆虫である。だが、その小さな体にも大きな謎とロマンが詰まっている。

 

ここでいくつかの代表的なツノゼミを紹介。

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■バラノトゲツノゼミ

その名の通りバラのトゲに擬態するために進化を遂げたフォルム。

シンプルな造形と色使いが非常に筆者好みなツノゼミ

 

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■ニトウリュウツノゼミ

外敵から身を守るため鋭利な武器を手にしたツノゼミ

喉に刺さりそうで食べる気も起きない。

 

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■ヨツコブツノゼミ

見るからにおかしい。アリに擬態?仮にそうだとして、なんのため?

このようになんのために発達したかわからないツノゼミは数知れない。

 

そもそもこの“ツノ”は一体なんなのだろうか。

定説では胸部が変形したものとされているが、最新の研究では翅の遺伝子の働きによって作られているとする説も出てきている。何にせよまだまだ謎の多い虫なのだ。

専門的な知識もデータもないただの虫好きの意見ではあるが、筆者はこの「『第3の翅』説」を推したい。この珍妙な物体が翅の遺伝子で出来ているとすれば、“飛行性能”という枷を外された翅はこうも多様な進化を遂げるのかという生物の神秘を感じないだろうか?今後の研究に期待である。

 

 日本でもツノゼミの仲間は15~20種ほどが確認されている。

海外の奇抜な種のようにはいかないが、控え目な日本らしい美しさが彼らにもある。

森に出かけた際には、是非探してみてはいかがだろうか。

ツノゼミの分泌する甘い蜜を求めてアリが集まるので、“アリだかり”のある木を見つけるのがツノゼミ探しの鍵だとか。)

 

 

 

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※写真、和名は「ツノゼミ ありえない虫」(丸山宗利著/幻冬舎)より借用

 

4月。それは希望に満ち溢れた春の始まり。

今日から四月。新生活の始まりの月である。

春は希望に満ち溢れた季節なんてチープな言い回しがあるが、春ほど憂鬱な季節は無い。

確かに私も小中学生の頃までは年度始めに異様なまでの高揚感を抱いていたし、高校時代は部活の後輩が楽しみで仕方なかった。

 

しかしながら、大学生となった今では新年度に対する希望など無く、無為に過ごした二ヶ月の春休みを省み、「今年は頑張ろう。」と誰に約束するでも無く無責任な意気込みを掲げるだけである。非生産的であることこの上ない。(世の大学生がいかにしてこの二ヶ月を有意義なものにしていたのか是非ともご教授願いたいものだ。)

 二ヶ月ぶりに大学に足を向けること。単位との戦いに苛まれる日々を思うだけで心が重い。やはり春は憂鬱な季節だ。

 

希望の季節“春”を過ごせるのは、華の高校生までの特権なのだ。

高校生程の心の若さで、この長期休暇を過ごせていたらなんと生産的だったことだろうか。

 

心的老いを感じずにはいられないモラトリアム最終盤の春である。

2016年シーズン間もなく開幕

先日は我が家の軒下にも蝶(おそらくアカテタハの越冬個体)が現れるなど、2016年の昆虫シーズン開幕が近づいてきており高まっている筆者であります。

 

早春は成虫越冬組(チョウ、テントウムシ、ハチ、アブ)やちょっとせっかちな羽化組(チョウ)が主だった顔ぶれでしょうか。

前者の虫たちは厳しい冬を乗り越え、少々お疲れ気味な姿がまた趣深いもので、後者後者で真新しい翅を広げ、飛び回る姿が非常に美しいものです。

春先に虫を見かけたら、そんなところに目を向けてみるのも一つ面白いかもしれません。

桜、菜の花の季節になってくれば本格的な昆虫シーズン。多様な昆虫と出会えることでしょう。楽しみですね。

個人的にはナミアゲハを見ると本格的なシーズン開幕を実感します。

春の野山と言えば!みたいなところがありますし陽春を実感させてくれる素敵な子です。

 

最近あんまりフィールドに出てのムシカツ!が出来てないので、2016年シーズンはオオルリオサムシ辺りを狙って北海道の虫と出会う旅でもしてみたいなーとか思いつつ。